西武池袋線椎名町駅の近くの漢方薬店互善堂です。相談ベースで漢方薬や東洋医学の考え方を利用した健康相談を受付中です。
酸味の食材はなんだろな
先日のご相談で、イライラや夏の疲れなどの薬膳として「酸」の味を食べると良いですよーって話をしたのに、「酸」に属性する食べ物がすぐに出てこなかった勉強不足な私です。早速、お酢以外で「酸」に属する食べ物を記録しておきたいと思います。
お酢料理
お酢以外でといいながら、早速お酢が登場。とにかくお酢は「酸」の代表なので、これで味付けをすれば大体なんでも「酸」。よく、お酢を飲むのはちょっと・・・なんていう話を聞きますが、お酢を飲む必要なくって、料理の味付けは調理法として利用すればOKです。
りんご、みかん、あんず、梅、すもも、ビワ、ブドウ、モモ、なしなどの果実
最近は品種改良で酸っぱい果物って減りましたが、割と酸味を感じる果物って多いですよね。イライラするわーと思ったら、果物でブレイクタイムはありですね!!
さば、ふな、ぶり
*勉強不足の部分となります。ご参考程度にしてください。
これらの魚も酸味に分類されます。(五味「甘」にも分類されています)。栄養学的にみて、サバやぶりはDHA、EPAなどのアミノ酸が豊富に含まれていて動脈硬化や高血圧の改善をうたわれることが多くなっています。カンパチのようなあっさりした魚に比べたら脂が乗って酸化しやすいので魚の中では酸味に分類されたのかもしれません。タンパク質も多く含まれていて、後々に説明します肝の働きとマッチしているとも考えられます。
トマト
こちらも品種改良を経て、甘いトマトが多くなりましたが、昔は酸味を感じるトマトが多くて、子供が嫌いな食べ物に指名することが多かったですよね。今の食べ物は本当に甘い・・・。
以上『台所薬膳』万来舎を参照しています。
ところで、五味とは何か
薬膳に欠かせない考え方の一つが五味です。五つの味(酸味・苦み・甘さ・辛さ・塩っからさ)はそれぞれ五臓と関係しています。五臓とは何か。五臓とは五臓六腑という言葉は聞いたことある人が多いと思います。五臓六腑に染み渡るなんちゃらかんちゃら。内臓と捉えることもできますが、中国医学で五臓とは機能のことで、西洋医学の言葉を借りるなら生理機能に近い意味合いになります。今回のテーマの酸味は五臓の肝と結びつくのですが、決して肝臓を強くするわけではありません。五臓の肝の働きを助けてくれると考えます。もう少し口すっぱく言っておくと、酸味を食べると肝臓が強くなって、お酒を飲んでも大丈夫・・・ではないということです。あくまでも中国医学的な「肝」の機能を助けるものです。
肝の働きとは・・・かじったことのある人ならよく聞くストレス問題含む
具体的に中国医学的な肝の機能とは何か。説明すると長くなるのですが、教科書的な部分で簡単に。
- 蔵血をつかさどる
- 疎泄をつかさどる
蔵血とは血を蓄えることです。蓄えるところは内臓の肝臓だけでなく、筋肉にも蓄えています。筋肉は肝と関係が深いとされています。
疎泄は流す働きです。流すものは血に限らず、気や感情も含まれます。
蓄える働きと流す働きで陰陽の関係を持っています。陰の働きが弱くなるタイプの人では蔵血の働きが弱まり流す力ばかりになります。すると人はカッと起こりやすい人になることがあります。逆に陽の働きが弱くなるタイプですと、蔵血が強くなります。ふつふつとぐちぐちと怒りを溜めるタイプになります。感情の流れも左右させるため、肝はストレスと関係があると言われたり、怒りの感情が抑えられない人は肝が弱くなっていると言われることがあります。煩躁易怒と言って、イライラすることが多いと肝が弱っていることを示唆するのですが、昨今のストレスは怒るというよりは気が滅入るようなタイプの人が多い気もするので、ストレスとの関係性はその感情の種類をよく観察した方が良いかもしれません。
説明が長くなってしまいましたが、とっても意訳してわかりやすくいうと、最近体動かしてなくて筋肉鈍っているなとか、特に目立つ不調はないんだけど朝からちょっと体が重だるいなとか、ちょっとしたことでイライラが溜まってしまうなとか、そうゆう時は肝の働きが弱っているときかもしれません。
まとめていく・・・五味と五臓の考え方
そんな時にはどんなものを食べればいいのか?中国医学では各臓腑に対応した食べ物を五味として教えてくれています。肝が弱っていると感じた時は酸味を食べることを勧めています。別に酸味ばかり食べろというわけではありません。食事の中に一品追加するだけで十分だと思います。簡単にきゅうりとわかめの酢漬けを追加することで、日頃の疲れを流してくれます。今ふと思い出したのですが、酢漬けは疲労回復にいいからと母が言っていたのを思い出しました。別に中国医学を意識はしていなくても、昔から酢漬けを食べると元気になれるよというおばあちゃんの知恵袋的な薬膳が身近に存在していたわけですね。
実際このように文章にしてみると、自分の勉強不足が露呈しますね。次は苦みについて書こうかな・・・その次は、甘味・・・辛味、塩っ辛イ・・・いつになることやら。
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