西武池袋線椎名町駅から徒歩2分の漢方薬店互善堂です。漢方薬について、東洋医学について、健康について、ブログにしていきます。
便秘で悩んでいる人は多いと思います。便秘や下痢など腸の問題に漢方薬はよく効きます。今回は便秘の漢方薬について、簡単に羅列しておきますので、ご参考にどうぞ。
*マークの漢方薬は互善堂に在庫がございます。ない漢方薬に関しては取り寄せとなります。
大黄という生薬
大黄は漢方薬の生薬の中でも有名な瀉下剤つまり便を排出する作用を持つ生薬です。大黄が入っている漢方薬は少し強いので、小児や高齢者、病弱な方は大黄が入っていないタイプの漢方薬を選ぶと良いでしょう。
胃腸の実熱の漢方薬
実熱というのは漢方用語ではありますが、なんとなくイメージはつくでしょうか。脂っこいもの、味の濃いもの、濃厚な味のものを飲食し続けると体はより熱を帯びます。その熱によって水分が減り、大腸で便から水分を奪い便が硬くなります。便の多くは水分です。水分が多い便であればすんなり出るのですが、体の熱によって便が硬くなってしまうという状態です。体の線が太い人、細い人関係なく、体内に熱を溜め込みやすい人というのは存在します。
大承気湯
大黄・芒硝・甘草を含む漢方薬で、最も頑固な便秘に用います。脂っこいものや味が濃いものをたくさん食べる方でお腹に強い張り感、自発痛があり、便が硬く固まってしまうような便秘におすすめです。
三黄瀉心湯 *
黄連・黄苓・大黄を含む漢方薬。顔は赤ら顔傾向で便秘と不眠、イライラを訴える人におすすめです。
防風通聖散 *
大黄・芒硝・麻黄・防風・荊芥・薄荷・滑石・梔子・石膏・桔梗・連翹・ 黄芩・当帰・川芎・芍薬・甘草・生姜と多くの生薬を含む漢方薬で、ダイエット漢方薬としても有名です。太鼓腹タイプの脂肪を抱えた便秘に効果があります。長期服用が可能なので、タイプが合うのであれば排便の習慣づけになります。
胃腸の気滞
精神的なストレスなどや長時間のデスクワークなど、体を動かし気を巡らすことが少なくなると胃腸の働きが停滞し便秘や腸にガスが多く溜まります。気滞は筋肉を伸びやかに動かすことで解消されることが多いですが、その際は体の負担も大きく、自らの力だけでは動かすことができなくなっている場合もあります。過敏性腸症候群などの便秘にもこのタイプが多いです。お腹の筋肉が緊張してしまっていて痛みがあり便がうまく出せなくなります。強い下剤というよりは体を緩めるような漢方薬になります。
大柴胡湯 *
柴胡・ 黄芩・枳実・芍薬・半夏・生姜・大棗・大黄。気分が滅入りやすかったり、逆に怒りっぽかったり、精神的な上下があり、両脇が張っている(胸脇苦満)があって便秘するという人におすすめです。
大黄甘草湯
大黄・甘草。大黄が排便を促し、甘草がお腹の緊張を緩めてくれます。線が太い人、細い人関係なく幅広く利用することができます。
脾胃や腎の虚弱
漢方用語としての脾胃とは消化器全部ひっくるめた全ての機能のことです。漢方用語の腎とは生命力や精力に関する機能のことです。それらが弱っていて排便ができないという状態です。
桂枝加芍薬湯 *
桂枝・芍薬・甘草・生姜・大棗。本来は下痢腹痛がある時に用いますが、胃腸が弱くなり、腹壁が硬くなっている人の便秘には、便通がつくことがあります。
麻子仁丸
麻子仁・杏仁・枳実・厚朴・芍薬・大黄。高齢者でお腹に力がなく、水分が少ない常習便秘に用います。
八味地黄丸 *
地黄・山薬・山茱萸・牡丹皮・茯苓・沢瀉・桂枝・附子。下腹部に力がなく、足腰が弱って疲労が取れない症状や、下半身の冷えや夜間頻尿などがある方の便秘に利用します。便秘のための漢方薬としてではなく、加齢に伴う現象全般へのアプローチとして有名です。
瘀血 血の巡りが悪くなっている
瘀血は漢方用語で、血の流れが悪いことを言います。血が流れず溜まっているような状態で、静脈性の血行障害と言われることもあります。
桃核承気湯 *
桃仁・桂枝・大黄・芒硝・甘草。大黄と芒硝の組み合わせは排便を促す効果が高いです。気血を巡らす漢方薬として生理痛や経血がどろっとしている人の漢方薬として有名です。便が出ていくことにより溜まっていた気血がより巡り、体調を整えていく漢方薬と言えるかもしれません。便秘だけが辛いというよりは、他にも、生理痛が強かったり、肌が赤黒くなりがちで体が重だるいなどという症状と併発して便秘があるという方にもおすすめです。
桂枝茯苓丸 *
桂枝・桃仁・牡丹皮・芍薬・茯苓。桂枝茯苓丸が気血を巡らす標準の漢方薬です。桃核承気湯と違って、大黄と芒硝が入っていませんが、気血を巡らすことによって便通が良くなることは大いにあるため、無理に大腸を刺激しようという考えではなく、体の巡りをよくして自然に便に出ていってもらおうという漢方薬になります。
ただの便秘と言っても、便秘の原因は様々です。ここに列挙していない漢方薬でも、体質の改善によって便通がつくようになることもあります。体質によって漢方薬が変わることもありますので一度ぜひご相談ください。
また、西洋医学での便秘の対処とは少し異なっているため、理解しにくい部分もあるかもしれません。薬慣れをしてしまって困っている場合にも次の対処として体質改善を目指すことは可能です。是非一度お試しください。
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